リンク集

2009年07月05日

観音菩薩なるサンショウウオが再生医療に知恵を授けん・・・

前世紀の遺物と思われていた、両生類の
再生研究。新発見があったようだ。

ネイチャーが楽しみだ。
どこかからかっぱらってでも、読んでみたいものだ。


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新世紀エヴァンゲリオンという、ガラパゴス的謎かけアニメ騒ぎ。

オープニングソングだけは素晴らしかった、
よくわかれあない不思議系アニメとしての、
新世紀エヴァンゲリオン

ロスジェネなる者達が大学生の頃、
よく見たという読者もいるだろうが、
今になってまた盛り上げても、
勝手にやれという程度のものでしかない。

解けない謎を作るのは簡単だ。
迷宮入りも難しくない。

人造人間というロボットで騒ぎ、
正答のない謎かけで騒がせる。
劇場に行けと何度も言われ、もういい加減に
せよと言いたくなる。

未だに、足を運んでいない。
携帯と同じく、これは日本だけのガラパゴス的現象
なのだろう。


posted by ロスジェネ at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月04日

割礼という魔物をまず祓え!

アフリカに根付く割礼という魔物は、本当に厄介だ。
無節操な外科医のせいなんかで終われない。
本来ならば多民族の団結によるパン・アフリカ大帝国
なんてのも有り得たかもしれない世界史・・・
彼等は伝統に下手に縛られ、本当の呪術にかかったかの
ように、奴隷にされ、虐殺され、今もなお、
富に振り回されて紛争を繰り広げ、そして、熱病と
飢餓で死を振り撒いていく。
まず、自力で割礼を全否定してはどうか?
呪術撲殺なら、NGOの助けなしにできないだろうか?


posted by ロスジェネ at 22:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

北朝鮮の南進が先か?幸福実現党の北進が先か?

7発の弾道ミサイルは、日本国征服の狼煙と
考えていいだろう。まだ腑抜けといわれている
この国への、植民地支配の狼煙でもあろう。

幸福実現党がいきなり与党になることは
あり得ないだろうが、それよりも早く、
北朝鮮という悪の帝国が、銃撃で日本中を
穴だらけにする未来のほうが、結構快速で
やってくるかもしれない。


posted by ロスジェネ at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイケル、お前は新たな物語を始めるだろう。

王の死は、新しい物語を綴らせるエネルギーになるだろう。
この国もそうだった。飯島愛が亡くなり、新しい性の
エネルギーが動こうとしている。うねりはまだ地下だが、
確実に首をもたげている。

ロスジェネはあいにくそれを感知できない。
だが、一つの価値が将来、産声を上げると思う。


posted by ロスジェネ at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

麻生君よ、吠えたまえ。

麻生君は宰相ではある。米国の不景気を通り過ぎて
帰国した者として、それはわかる。物価が高く、
明日からクビと簡単に言われ、数百倍の求人倍率で
何処でも貸店舗がガラ空きになっているのがある、そんな
米国に比べれば、まだ麻生君は宰相である。

しかし、高度経済成長期+バブル黄金期の余剰で
貪る豊かさの薄皮も、尽きれば貧困という無間地獄への
始まりになる。

土でできた家に住み、しょっちゅう子供が死に、
親は母国語が読み書きできず、日給100円が上々という
地獄へ、いつ落ちるかわからない。

もし北朝鮮の植民地になれば、そうなるだろう。
恵んでもらうのが日給。あとは暇つぶしの軍隊が
殺戮を楽しみに、各都道府県に雪崩れ込むだけ・・・

北朝鮮が日本の産業を有効利用するわけがない。
麻生君、吠えるなら、今だ。


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2009年07月03日

ドナルド・ウィリアムソンの幼生転移仮説1(larval transfer hypothesis)

<はじめに(展示No.1)>
この二つの生き物のスケッチと写真を比べて見て欲しい。右側がフジツボの子供で、左側がクルマエビの子供だ。名前が書かれていなければ、どちらがフジツボの子供で、どちらがクルマエビの子供なのか、見分けもつかないことと思う。大人のフジツボは石灰質の殻に覆われ、固着生活を営んでおり、クルマエビは、真っ赤な甲羅と触角、尾を持っている。しかし、子供となると、どちらがどの動物なのか見分けもつかないくらいに似ている。
 この子供すなわち幼生の外見が似ていることで、フジツボがエビやカニと同じ甲殻類の仲間であることを初めて指摘したのは、進化論で有名なチャールズ・ダーウィンであった。彼は、著作「種の起源」の第五版で、「キュビエでさえフジツボが甲殻類であることに気がつかなかったが、幼生を見れば一目でわかる」と述べている。そして、彼は、フジツボの分類に大いに貢献した。学名として彼の名前がついたフジツボに、潮間帯に生息するChionelasmus darwini がある。
 ところで、フジツボもクルマエビも、子供のときは形がよく似ているのに、どうして大人すなわち成体になると、同じ甲殻類とは思えないくらいに形が変わってしまうのだろう。それには、生活環境が大きく影響していたかもしれない。例えば、フジツボは、子供のときは、微小なプランクトンを食べるために、また自分を食べようとする敵から逃れるために海の中を泳ぎ回るが、大人になると、堅い殻で天敵から身を守れるようになるため、岩肌に密着して、一生同じ所に留まるようになったのだろう。
 しかし、この展示では、“一つの動物種で、別々の種の動物とも思えるような成体と幼生がどのようにして作り上げられたのか?”という言わば形の異なる子供と大人の組み合わせができるに至ったプロセスについて焦点を当てたい。

<いろいろな動物の幼生と成体(展示No.2)>
実は、大人の形は明らかに異なるが、子供になると非常によく似ていて見分けがつかない事実は、フジツボとクルマエビに限ったことではない。展示の系統樹と写真に示すように、棘皮動物では、コシダカウニとクモヒトデの、軟体動物ではアワビの、環形動物ではゴカイの成体と幼生の形を見比べても、同じことがいえる。

<ダーウィンの考えで、幼生と成体を説明できるか?>
フジツボを甲殻類の仲間であると指摘したダーウィンは、生物は、体の形や機能を少しずつ変えていくが、この変化の蓄積で生存していくのに有利な形や機能を手に入れた生物が生き残り、数多くの子孫を増やしていくが、手に入れられなかった生物は死に絶えていく、という自然淘汰の考えを「種の起源」で著している。現在も生きているキリンの首が長くなったプロセスを自然淘汰の理論で説明すると、以下のようになる。キリンの祖先は首が短かったが、食物である木の葉に頭が届くだけの長い首を持った個体が生存に有利な自然環境下に住んでいた。やがて、木の高いところの木の葉を食べられるだけの長い首を持ったキリンだけが生きられるようになり、それだけの長い首を持っていなかったキリンは餓死していった。こうして、首の長いものだけが自然の中で子孫を存続し、ついには首の長いキリンが現代にまで生き残った。
 しかし、先に述べた無脊椎動物の成体と幼生は、キリンの首の長さとは各段に異なる規模の形態の変化を遂げている。自然選択は、腕・刺・爪の数や形の変化をもたらしているかもしれないが、違う種の動物とも思えるほどの巨視的な体の形の違いまで、果して自然淘汰で賄えられるだろうか。メンデルやモーガン等の遺伝学者によって、また、20世紀の進化学者達によって、自然淘汰は、遺伝子に突然変異が蓄積され、その結果引き起こされた進化によって生存に有利な形や機能を獲得した生物が生き残った現象である、と考えられるようになった。つまり、形や機能の変化を引き起こすのは遺伝子の変異による、ということになる。しかし、遺伝子の配列が変わるだけで、生物の形は、フジツボの成体と幼生のような姿を獲得できるのであろうか。それに、変異は、それ自体が大抵は生存に不利に働く大変危険な要素である。人間社会で問題になっているパーキンソン病やアルツハイマー病は、遺伝子の配列内に起こった変異によって引き起こされることが知られている。進化していく上で有利になるどころか、死に至ることは言うまでもない。本当に、遺伝子の配列の変化だけが、進化を引き起こすメカニズムなのだろうか。

<ドナルド・ウィリアムソン>
リン・マーギュリス博士の連続細胞内共生説によれば、原核生物にα-プロテオバクテリアが、藍藻が、そしてスピヘロータが、その原核生物の体内に取りこまれて、それぞれミトコンドリア、葉緑体、鞭毛といった細胞内小器官(オルガネラ)として共生するようになったという。しかも、ミトコンドリアと葉緑体には、環状二本鎖のDNAが存在し、核とは独立した遺伝システムを有している。つまり、真核生物の祖先は、ミトコンドリアや葉緑体を獲得したと同時に、これらの遺伝子をも取り込んだことになる。
 真核生物は、ミトコンドリアを獲得して酸素呼吸と多量のエネルギーの消費が可能になり、植物では、葉緑体の獲得で、光合成による栄養の獲得が可能になった。フジツボは、卵から生まれた時は遊泳する幼生だが、変態を遂げて堅い殻を持った成体になり、一ヶ所に固着する。真核生物の祖先がミトコンドリア等の細胞内小器官の源を獲得したように、フジツボが“幼生”を手に入れた、と考えてみてはどうだろうか。つまり、

“幼生”を手に入れる前:卵 ⇒ 成体のミニチュア  ⇒ 成体のフジツボ
“幼生”を手に入れた後:卵 ⇒ 幼生(遊泳できる) ⇒ 成体のフジツボ

ということである。この考えを提唱したのは、リバプール大学海洋生物学研究所元教授のドナルド・ウィリアムソン博士である。

<幼生転移>
彼は、種の異なる動物のみならず、系統の離れた動物同士で、遺伝子の移動があり、幼生の形はその結果獲得できたものではないか、と考えた。フジツボに例えれば、遊泳する子供は元々フジツボとは関係のない別の生物で、フジツボは、生まれた時から一ヶ所に固着する堅い殻を持った生物であったが、この両者の精子と卵が受精して子孫を残せる、いわゆる雑種形成の機会に恵まれ、孵化したときは、遊泳する子供の形をしているが、最後は固着して生活するフジツボになった、ということになる。遺伝子のレベルで説明すると、フジツボの体内で、幼生の形を作る遺伝子が発現し、その結果幼生の形が作られ、フジツボの幼生世代の姿になったと説明できる。ウィリアムソン博士は、フジツボのような子供と大人の姿形が著しく異なる動物について、成体の世代と幼生の世代という二つの世代が別々の生物に由来しており、この別々の生活史が合体したキメラであると考えた。例えばフジツボでは、

卵     ⇒   幼生(遊泳できる)    ⇒ 成体
元々フジツボの世代 → 手に入れた“幼生”の世代   → 元々フジツボの世代

 というようになる。フジツボの一生の中で、別々の動物の生活史が出てくるのである。ウィリアムソン博士は、こうして“幼生”を手に入れた動物は、それぞれが違った進化の道程を歩み、棲家や餌を巡る生存競争から解放されて、新しいニッチを獲得していったのではないか、と考えた。博士は、この幼生獲得の一連の生命現象を幼生転移(larval transfer)と名付けた。

<ウィリアムソン博士の経歴>
博士は、元々はエビ・カニの分類を専門とする研究者であった。幼生の形質を丹念に比較し、エビの研究においては、クルマエビやイセエビ等従来から知られていたエビの仲間とは異なるエビを発見し、これをアンフィオニディウム目という新しい目として定めた。カニの研究においては、Dorhyncus thomsoni等の子供であるゾエア幼生を、系統的に近い仲間のゾエア幼生と比較し、成体の形のみを観察した場合とは異なる結果の分類になることを、欧文雑誌に発表した。博士の幼生転移についてのアイディアは、ゾエア幼生の研究に関する論文から始められている。詳細については、後で解説する。彼の幼生転移についての論文は、このカニ・エビを中心とした甲殻類の幼生の形態比較から始まり、やがて、理論の適用範囲は、ウニやヒトデ等の棘皮動物、トロコフォア幼生を持つゴカイ等の環形動物やアワビ等の軟体動物にまで拡張された。彼は、論文等で発表されている過去の知見そして自身の分類における研究成果を踏まえて理論の可能性を考察するだけに留まらず、自らウニとホヤの卵と精子を受精させ、生まれた雑種がどのような発生をするのか、について実験を実施し、雑種の発生の観察を行った。これについては、彼が1992年に出版した書籍“Larvae and Evolution − Toward a New Zoology − ”に書かれている。しかし、これ以降、彼は遺伝子工学的手法や免疫化学的手法を駆使して実験を発展させることはなく、知識を蓄積し、動物の進化における幼生転移の正当性を主張する論文を発表し続けた。2001年にZoological Journal of the Linnean Society で発表された総説では、理論の適用を海産無脊椎動物の幼生にのみならず、胚や陸生の無脊椎動物の幼生にまで広げた。彼の理論についてより正確かつ詳細に知りたい方は、先に述べた図書と文献を是非お勧めしたい。

<ウィリアムソン博士への評価>
しかし、このウィリアムソン博士の幼生転移の理論は、面白さばかりが先行し、科学的には高校生レベルの戯言、あるいは、彼自身が単に変質的な科学者であるだけ、といった批判が少なくなかった。しかし、彼と同じ研究所に勤務している藻類の研究者であるトレバー・ノートン博士は、彼を、E・ヘッケルの業績に匹敵する生物学者である、と評価する。ノートン博士によると、ウィリアムソン博士は、一言で言えば19世紀にいたような無脊椎動物の専門家であり、免疫化学や分子生物学といった現代的なテクノロジーを駆使することなく、徹底的に実験動物を観察し、動物間の系統関係を重視し、直感的に物事を理解することに優れ、巨視的に物事を見ることができる稀代の生物学者であった、とのことである。
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2009年07月02日

ドナルド・ウィリアムソンの幼生転移仮説2(larval transfer hypothesis)

<カイカムリのゾエア幼生(展示No.3)>
カイカムリの属するDromioideaでは、ゾエア幼生として孵化するものと、さらに発生の進んだメガロパ幼生として孵化するものの二つが知られているが、カイカムリは前者に属する。ゾエア幼生そしてメガロパ幼生を経て、変態を遂げて成体になる。展示の (a)はDromia personataのゾエア幼生T期、(b)はその成体、(c)はAnapagurus chiroacanthus(ザリガニの一種)のゾエア幼生T期、(d)はケアシガニの一種(Maja squinado)のゾエア幼生T期である。成体の形を同じカニで比較すると(d)のようなHomoloideaに近縁だが、ゾエア幼生で比較すると、(c)のようなAnomuraに近縁と思われる。

<カイカムリのゾエア幼生【続き】(展示No.3)>
ゾエア幼生の形質の比較を行った結果、カイカムリのゾエア幼生には、他の近縁種のゾエア幼生にはない幾つかの特徴が見られた。
・ ゾエア幼生の段階で、前肢の外肢が発生すること。これは、Anomuraの祖先の特徴である。
・ 胸部のeyepodの数が、Anomuraのものよりも多い。これは、他のDromioideaには見られない特徴である。
この二つの特徴は、Anomuraのゾエア幼生を作る遺伝子が、カイカムリに幼生転移によって移動したことを示唆する証拠と考えると、カイカムリは、元々は独自のゾエア幼生を持っていたが、何らかの要因でゾエア幼生が不要になり、メガロパ幼生からスタートする生活史になった、と考えられる。つまり、Anomuraの一種と交配し、その結果生まれた雑種は、ゾエア幼生として孵化し、Anomuraのゾエア幼生を自分の生活史の中に挿入する形で利用できるようになったと思われる。このゾエア幼生を作る遺伝子は、カイカムリのメガロパ幼生を作る遺伝子よりも優先的に発現できるため、メガロパ幼生よりも先の時期にゾエア幼生ができあがり、ゾエア幼生として孵化したものと思われる。

<Dorhyncus thomsoniのゾエア幼生(展示No.4)>
Dorhyncus thomsoniは、カイカムリとは異なり、Majideaに属する。ゾエア幼生として孵化し、メガロパ幼生を経て成体になる。(a)はDorhyncus thomsoniのゾエア幼生T期、(b)はDorhyncus thomsoniの成体、(c)はHomola barbata(Homolidaeに属する)のゾエア幼生T期、(d)はその成体、(e)はMajideaに属するInachus dorsettensisのゾエア幼生T期である。Dorhyncusもカイカムリと同じく、成体と幼生とで近縁のものが異なる。成体では(e)に近縁になるが、幼生では(c)に近縁になる。
カイカムリと同じく、ゾエア幼生の形質を比較すると、近縁の種にはない特徴が見られる。
・ 胴体の甲皮にのみ棘が14本も見られる。他のMajideaでは、嘴の部分を含めて4本しか見られない。
・ 腹部のほとんどの体節に2本ずつ棘が生えている。
これらの特徴は、Homolaのゾエア幼生の後期に見られる形質である。従って、Homolaのゾエア幼生を作る遺伝子がDorhyncusに転移されたのだろう。しかし、(d)には(b)ほど痛々しい棘は生えていない。つまり、Homolaのゾエア幼生を作る遺伝子が働くだけでゾエア幼生が作られるとは考えにくい。寧ろ、その遺伝子の中で、甲皮と腹部の棘を担当する部分が働いているものと思われる。
雑種の体内では転移されたHomolaの遺伝子は存在するが、機能してはいなかったが、棘を作る遺伝子は再び働き出したため、今のような鋭い棘を携えたゾエア幼生になったのだろう。

その他の甲殻類でも幼生転移が考えられる>
幼生転移の可能性が考えられるのは、先に述べた2種のカニだけではない。ウィリアムソン博士は、甲殻類の大部分において、幼生転移があったと思われる例を数多くあげている。彼が執筆した論文に出てくる甲殻類の幼生と、甲殻類が一般的に通過する発生段階に当てはめた表を下に示す。

    ノープリウス   ゾエア              メガロパ
オキアミ目  ○      カリプトピス・フルリキア    キルトピア
クルマエビ亜目  ○      ミシス                 ポストラーバ
イセエビ下目  ×      フィロソーマ             プエルルス
ツルアシ類  ○       キプリス              ×




 ゾエアおよびメガロパ幼生では、目・類によって形態が異なるため、名称も異なるが、ゾエア・メガロパの部類に入るものを表の中に入れた。この表の中から、幾つかを選んで、幼生転移の可能性について述べていきたい。

<ノープリウス幼生とnaupliomorph(展示No.5)>
ノープリウス幼生の体は頭・胸・腹部に分かれており、2対の触角と1対の大顎、そして1個の目・口と消化管を持つ。この幼生で孵化するのは下等な甲殻類のみとされ、大部分の甲殻類では、胚発生の段階で通過してしまう(胚ノープリウスと呼ばれる)。最初の章で、フジツボとクルマエビの幼生を紹介した。博士は、ノープリウス幼生の源を甲殻類ではなく、現存しないノープリウス様節足動物naupliomorphに求めた。そして、このnaupliomorphが様々な甲殻類ひいてはそれ以外の節足動物に幼生として広まったのでは、と推理した。

<ノープリウス幼生とnaupliomorph【続き】(展示No.5)>
また、フジツボでは、一回から複数回にわたり幼生転移が起こったと推理した。しかし、この転移は、フジツボの成体の形が多様化した後に起こったため、幼生の甲皮の形等の形質でフジツボそのものを分類する指標にはできなかったものと思われる。

<ノープリウス幼生とnaupliomorph【続き】(展示No.5)>
Martinssonia elongataはノープリウス幼生を獲得した好例としてあげられる。元々の祖先は、分節化した体と棘のある尾を持った甲殻類だが、naupliomorphとの雑種形成でノープリウス幼生を獲得したものと思われる。

<キプリス幼生とフジツボ・キンチャクムシ(展示No.6)>
キプリス幼生は甲殻類ツルアシ類の幼生で、ゾエア幼生に相当する。名前は、貝虫類のオオカイミジンコ(Cypris)に似ていることからついた。ノープリウス幼生からキプリス幼生への脱皮で、それまでの三角形の甲皮を捨て、二枚貝の殻のような甲殻を作る。そして成体への脱皮の際に、体を180度回転させて稚個体となる。この時期に胸肢は成体のツルアシになる。
 博士は、ツルアシ類(例えば、フジツボ下綱フクロムシ目のrhizocephales)のキプリス幼生は、cirripede(フジツボ目)あるいはascothoracian(キンチャクムシ目)が源であり、そこから幼生を獲得したのでは、と推理している。ただし、本類は節足動物の特徴が多いため、甲殻類ではないと思われる。

<ゾエア幼生とmysidacean(展示No.7)>
ゾエア幼生は、ノープリウスの次に続く幼生世代である。胸部にも何対か付属肢ができる。ゾエアの形質を数多く持つmysidaceanが源で、この遺伝子が、クルマエビ亜目やコエビ下目等の甲殻類に転移されたのでは、と博士は推理している。さらに、クルマエビ亜目が獲得したゾエア幼生はエビ亜目に、コエビ下目で獲得されたゾエア幼生は、博士の提唱したエビの分類区分であるアンフィオディニウム目に転移されたものと思われる。
 ゾエア幼生の前段階としてプロトゾエア幼生というのがある。これに関しても、博士は考察している。化石でのみ存在が確認されているplenocarid(バージェス頁岩より発掘された節足動物である)がプロトゾエア幼生の源で、これと甲殻類の一種との間に生まれた雑種から、エビ亜目に幼生の体を作る遺伝子が転移されたものと思われる。

<フィロソーマ・ミシス幼生の起源(展示No.8,No.9)>
フィロソーマ幼生・ミシス幼生は、両者ともゾエア幼生に相当する。前者は、体は大形、扁平でガラスのように透明であり、後者は、腹部が伸長し、発達した胸肢で泳ぐ。博士は、フィロソーマ幼生は、絶滅種の節足動物が源で、ミシス幼生も甲殻類以外の節足動物が源になっているのでは、と推理している。

<メガロパ幼生について>
メガロパ幼生・ポストラーバ幼生・プエルルス幼生は、いずれもゾエア幼生に続く幼生世代である。胸肢のみならず腹肢も遊泳に適した形に発達する。博士は、メガロパ幼生、ポストラーバ幼生(クルマエビ亜目:メガロパ幼生に相当)、プエルルス幼生(イセエビ亜目:メガロパ幼生に相当)は、いずれも幼生転移によるものではなく、元々あった幼生世代では、と推理している。

<多相生活史を担う幼生達の起源(展示No.9)>
多相の生活史をもつ甲殻類として、オキアミ目があげられる。博士は、キルトピア幼生(メガロパ幼生に相当)は独自のものであるが、それ以外のノープリウス幼生およびカリプトピス・フルリキア幼生(それぞれゾエア幼生の前期および後期に相当)は全て余所の動物からの幼生転移で得たものでは、と推理している。
 また、一生遊泳生活を送るSergestidaeは、成体になるまでに4回変態を行い、ノープリウス・プロトゾエア・ゾエア・ポストラーバは、それぞれnaupliomorph、plenocarid、mysidacean、そして未知のポストラーバ様の甲殻類との雑種形成によって獲得されたのでは、と推理している。
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2009年07月01日

ドナルド・ウィリアムソンの幼生転移仮説3(larval transfer hypothesis)

<ウニの変態−棘皮動物の幼生転移−(展示No.11)>
棘皮動物といえば、大部分の人が鮨のネタとしてよく知られるウニを思い浮かべることと思う。ウニは高校生物の資料集に発生過程が写真付きで詳細に説明されており、ウニを始めとする棘皮動物では、幼生から稚体(成体の前の段階)になるときの変態過程で、面白い生命現象が見られる。幼生の体内に作られている大人のミニチュアである成体原基が、変態時期になると成長し、管足等の成体に必要な器官ができ、幼生の体を突き破る。幼生は、外見上抜け殻のようになり、最後には栄養分として吸収されてしまう。

<ウニの変態−棘皮動物の幼生転移−【続き】>
系統学の権威であるニュージーランドの生物学者H.バラクロフ・フェル博士 は、棘皮動物の幼生が成体とは生物学的に独立した別々の生物であったことを主張していた。この考えをウニの変態に当てはめて考えると、透明なエキノプルテウス幼生と丸い形をした成体のウニとは、元々は互いに別々の生物だったのではないか、と考えられる。

<ウニの変態−棘皮動物の幼生転移−【続き】(展示No.12)>
主な棘皮動物とその幼生の名前を、表として挙げておく。ローマ数字は、それぞれの成体と幼生を描いたスケッチに対応している。

成体           幼生
ヒトデ(b)          ビピンナリア(g)→ブラキオラリア(h)→ペンタクツラ
クモヒトデ(c)      オフィオプルテウス(i),ドリオラリア(j)
ウニ(d)          プリズム→エキノプルテウス(k)
ナマコ(e)          オーリクラリア(l)→ドリオラリア(m)
ウミユリ(a)     ドリオラリア(h)→シスチジアン→ペンタクリノイド

 どの動物も、幼生体内の消化管の側方にある成体原基から成体が形成されていく、という共通の特徴が見られる。

<幼生転移の証拠@:Luidia sarsi(展示No.13)>
Luidia sarsiは、巨大なビピンナリア幼生から変態を経て、成体のヒトデになる。しかし、このヒトデは、フェル博士の指摘を納得させてくれるような変態を遂げる。ビピンナリア幼生の体内にある成体原基からヒトデが作られていくが、ビピンナリア幼生は消化されずに、原基から成長した稚ヒトデと分離してしまう。このビピンナリア幼生は稚ヒトデから分離した後も、3ヶ月間遊泳しながら生存する。

<幼生転移の証拠:Echinus(展示No.14)>
ヨーロッパホンウニ(Echinus)のエキノプルテウスは、普通のエキノプルテウス幼生の時期を過ごすが、変態時期の来る前に、既に稚ウニの管足を形成している。幼生の生活史と成体の生活史が一部分であるが融合してしまっているものと思われる。幼生転移の考えで言えば、元々あった稚ウニの遺伝子と、受け入れた幼生の体を作る遺伝子が同時期に発現している、と説明できる。

<幼生転移の証拠B:Kirkのクモヒトデ(展示No.15)>
Kirkのクモヒトデの名で知られるこのクモヒトデは、幼生世代を一切持たず、成体のミニチュアとして孵化する。直接発生とも見て取れるが、この発生様式では、遊泳する幼生よりも短いが、口を持たずに体内の栄養分だけで過ごす時期があるため、これと同一ではない。おそらく、一度も幼生を獲得していないと思われる。

<幼生転移の証拠B:Kirkのクモヒトデ【続き】(展示No.15)>
また、棘皮動物の幼生はヒト等脊椎動物やホヤ等尾索動物に見られる腸体腔の体制であるのに対し、このクモヒトデは環形動物や軟体動物等の無脊椎動物に見られる裂体腔の体制である。この裂体腔は、別の前口動物から転移された体制かもしれない。

<ギボシムシ−棘皮動物の幼生の起源−(展示No.16)>
 甲殻類のときと同じく、ダーウィン進化だけでこれだけのドラスティックな形をした幼生が完成されたとは思えない。最も気になる点は、棘皮動物の成体は放射相称の体制であるのに対し、幼生は左右相称の体制であるということである。つまり、基本的な体の軸のあり方から異なっている。
 実は、棘皮動物とは近い位置にある半索動物ギボシムシは、成体もその子供であるトルナリア幼生も左右相称である。つまり、体制が棘皮動物の幼生と同じなのだ。外形も透明で柔らかく、よく似ている。特に、消化管の側方に作られる成体原基の一部が背方に延びて外界に開口する点で、ナマコのオーリクラリア幼生やヒトデのビピンナリア幼生と共通している。ウィリアムソン博士は、棘皮動物の幼生は、半索動物のトルナリア幼生が源になっているのでは、と推理している。

<幼生のルーツ−プランクトスファエラからギボシムシへ−(展示No.17)>
まず、半索動物内の幼生転移について。変態しない球形・左右相称のプランクトスファエラ類であるPlamctosphaera pelagicaが、トルナリア幼生の源になっており、これが石炭紀の時代に同じギボシムシ綱の腸鰓類に転移され、トルナリア幼生を獲得して、石炭紀からペルム紀にかけての気温の急激な低下等の変化の激しい環境の中を生き抜いたのでは、と博士は推理している。

<幼生のルーツ−ギボシムシからナマコへ−(展示No.17)>
博士は、トルナリア幼生を得たギボシムシから、最初に幼生を受け渡されたのはナマコではないか、と考えた。ナマコは幼生も成体も左右相称で、体制においては半索動物に近い。幼生の遺伝子の発現を成体でも保持しているため、成体も左右相称なのかもしれない。この受け入れられた遺伝子から作られた幼生が、オーリクラリア幼生となった。
一方、ドリオラリア幼生というのもあるが、以前はナマコのオーリクラリア幼生が起源と思われたが、現在は不明であり、ウミユリ→ナマコと考えたほうがよさそうである。

<幼生のルーツ−ナマコからウミユリ・ヒトデへ−(展示No.17)>
次に、ナマコの幼生は、二通りの経路で受け渡された。一つはウミユリである。成体の放射相称を作る遺伝子が幼生に影響するため、幼生は餌を捕らずに体内にある卵黄を消費して生活する樽状のドリオラリア幼生に落ち着いた。もう一つはヒトデである。受け入れられた遺伝子から作られた幼生がビピンナリア幼生となったが、ヒトデでは、腸の伸長と成体の接着器官を作る遺伝子の発現によって、吸盤様の構造を持つ3本の腕が生じ、ブラキオラリア幼生が新たに作られたと思われる。

<幼生のルーツ−ヒトデからウニ、そしてクモヒトデへ−(展示No.17)>
次に、ヒトデのビピンナリア幼生がウニに受け渡され、これが形を変えてカルシウム性の幼生骨格を持つエキノプルテウス幼生となった。この幼生が形をいろいろ変えてクモヒトデに伝わり、更に形を変えてオフィオプルテウス幼生ができあがった。古生物学の調査によると、この転移が約100万年前に行われたと考えられている。こちらも、カルシウム性の幼生骨格を持つ。前述したKirkのクモヒトデは、この幼生を一度も得ていない。

<クモヒトデの幼生のヴァリエーション(展示No.18)>
同属異種のレベルにおいても、幼生のタイプに違いが見られる。クモヒトデ綱のクシノハクモヒトデの一種Ophiura albidaとO.texturata は他のクモヒトデと同じようなオフィオプルテウス幼生の時期を過ごすが、同属のO.cincta はウミユリの幼生であるドリオラリア幼生の時期を過ごす。同属内においても、幼生の体を受け取る先が異なることがあるものと思われる。

<プルテウス幼生の形態のヴァリエーション(展示No.19)>
同じタイプの幼生における体長・形・腕の数の違いについては、幼生転移によるものではなく、遺伝子の変異の結果生じた差異、即ちダーウィン進化の範囲内で起こった差異であろうと思われる。ウニのエキノプルテウスも、クモヒトデのオフィオプルテウスも、腕の数や形は、幼生の体を手に入れた後、遺伝子に変異や組換えが起こったためバリエーションが生じたものと思われる。この現象が起こった時期としては、ペルム期後期―石炭紀中期が考えられる。
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2009年06月30日

ドナルド・ウィリアムソンの幼生転移仮説4(larval transfer hypothesis)

<トロコフォア幼生−動物門の垣根を越えた幼生転移>
無脊椎動物では、卵型をしたトロコフォア幼生の時期を過ごす動物が多く見られる。いずれも、トロコフォア幼生の時期は非常に形が似ており、初見の人には見分けがつかない。以下に、トロコフォア幼生の区分と今回説明する動物、その幼生の名前を列挙する。


区分         動物          幼生
トロコフォア幼生
        環形動物多毛類  トロコフォア→ネクトケータ
        ユムシ動物       トロコフォア
        星口動物       トロコフォア→ぺラゴスフェラ
        軟体動物       トロコフォア→ヴェリジャー
トロコフォア型幼生
           扁形動物多岐腸類   ミュラー(イイジマヒラムシはゲッテ)
         紐形動物        ピリディウム
        外肛動物苔虫類    キノフォーテス

<ゴカイとトロコフォア幼生(展示No.20)>
環形動物多毛類では、釣りの餌として使われるゴカイがよく知られている。ミミズは貧毛類、ヒルはヒル綱に属する。丸い形をしたトロコフォア幼生の後端から、肛門の左右にある中胚葉母細胞の分裂により体節が伸長して胴体が作られていくが、このときに幼生にしかない組織(中枢神経節、口、中腸、原腎管)は消失する。神経を始めとする外胚葉組織は、この変態過程で新たに作られる。つまり、幼生にしかない組織と成体にしかない組織が主導権を占める時期が発生過程ではっきりと分けられている。つまり、トロコフォア幼生も、甲殻類や棘皮動物と同じように、別の生物から幼生転移によって得られたものであり、組織の存在する時期がはっきりと分けられているのは、その証拠であると思われる。トロコフォア幼生の発生が進むと、3対の剛毛束を備えた、種ごとに形態の多様なネクトケータ幼生になる。これが更に成長して成体になる。
 多毛類の幼生転移の証拠となる幼生組織の消失を短時間で観察できるゴカイに、チマキゴカイ(Owenia)が挙げられる。トロコフォア幼生の後端から30秒以内に胴体が伸長し、15分以内で幼生組織が消失し、スマートな形をした若虫となる。

<ユムシとトロコフォア幼生(展示No.21)>
ユムシ動物はトロコフォア幼生を多毛類から獲得したと思われるが、変態のときに体節を消失するという、多毛類にはない現象が見られる。おそらく、体節を作る遺伝子が変態の進行に伴って抑制されていくのであろうが、この仕組みは、多毛類とは別の動物から獲得したものと思われる。

<ホシムシとトロコフォア幼生(展示No.22)>
星口動物は、触手が口を囲んで星状に配置している。多毛類と同じく、変態過程で幼生組織の消失が見られる。トロコフォア幼生は多毛類より得たものと思われるが、これに続くぺラゴスフェラ幼生は、前述のような交配が単一または複数回行われたことで確立されたと思われる。このぺラゴスフェラ幼生が次第に体長を増し、海底に沈んで若虫に変わる。

<軟体動物のトロコフォア幼生(展示No.23)>
軟体動物のトロコフォア幼生は、多毛類より獲得したものと思われる。この幼生の口前絨毛環が面盤という薄い膜となって突出し、ヴェリジャー幼生となる。この幼生で、貝殻等の成体組織が新しく作られる。このヴェリジャー幼生自体は、独自に持っていたものと思われる。貝殻の成長と共に面盤は退化し、海底に沈んで変態し、成体となる。
ミスジタニシ(Viviparus viviparus)は遊泳する幼生の時期のない直接発生の形式で発生するが、腸体腔を持つ後口動物の発生パターンで胚発生を進行する。この胚発生の様式は、棘皮動物または半索動物より幼生転移で得たものと思われる。

<ウズムシとミュラー幼生(展示No.24)>
扁形動物多岐腸類では、海中・淡水中に生息するウズムシが挙げられる。条虫等の寄生虫も綱は異なるが、同じ扁形動物に属する。幼生の体内にある胃の周囲で、稚体が成長し、幼生の腸と外胚葉板のみ稚体の体内に残され、それ以外の幼生の組織は吸収される。変態過程は棘皮動物のものと同じであり、幼生転移によってミュラー幼生を獲得したものであることを強く示唆している。

<ヒモムシとピリディウム幼生(展示No.24)>
紐形動物では、ヒモムシがよく知られている。再生力が強く、大きいものは全長20cm以上にもなる。生きた動物に蛇のように絡まって捕食する。棘皮動物の変態と同じように、ピリディウム幼生の体内で消化管を囲む部分だけが外胚葉に包まれて成長し、幼生を吸収して稚虫となり、稚虫は更に成長して成体になる。このトロコフォア幼生に近い形をしたピリディウム幼生は、幼生転移によって得られたものと思われる。

<コケムシとキフォノーテス幼生(展示No.24)>
苔虫動物は、個虫が集まって群体を形成して水中の岩や他生物の表面で生活している。キフォノーテス幼生の体内で稚体が成長し、幼生の体の大部分は変態のときに稚体に吸収される。この幼生がどこから獲得したものなのか、については不明である。だが、未分化な細胞群の小胞から発生するオリジナルの様式にトロコフォアもしくはキフォノーテス幼生の世代が挿入されて、現在の発生様式になってのではないかと推測される。

<幼生転移の可能性−二つの証拠−>
以上、幼生転移を示唆する証拠を踏まえて各動物の幼生を見てきたが、これらの動物では、
・ トロコフォア幼生を過ごす動物:組織レベルで、幼生専門の組織と成体専門の組織との間に境界線が引かれている。幼生転移で得られたと思われるトロコフォア幼生が、ネクトケータ幼生やぺラゴスフェラ幼生等の幼生よりも、早い発生時期に出現する。
・ トロコフォアに近い幼生を過ごす動物:棘皮動物に見られた、幼生の体内で成体の体が成長し、幼生は栄養分として吸収される。
というような、幼生転移の可能性を示唆する共通点が見られた。

<トロコフォア幼生のルーツ−ワムシ−(展示No.25)>
博士は、トロコフォア幼生の源を輪形動物のワムシに求めた。ワムシは、寄生性の原生動物を除くと、大きさが動物界で最も小さい(雄:50μm,雌:300μm)。元々、トロコフォアは、袋形動物のワムシの成体と基本的な体制が似ているため、環形・軟体動物は共通の祖先を持ち、それは現在の袋形動物に近いものだったのではないか、と考えられている。実在するワムシとして、Trochospheraがあり、繊毛の位置・外観・内臓の配置などが多毛類のトロコフォア幼生に酷似している。このワムシは小柄であり形態的にも複雑ではないので、小さい卵で多数産卵する繁殖方式に適合し、多くの動物門に受け入れられたのではないかと思われる。

<トロコフォア幼生のルーツ−ワムシから海産無脊椎動物へ−(展示No.25)>
幼形進化を遂げたトロコフォアの形のワムシが扁形動物多伎腸類の祖先と雑種形成し、後者にトロコフォア幼生の体を作る遺伝子が転移された。この多伎腸類の祖先から環形動物多毛類や軟体動物等に幼生の体を作る遺伝子が転移され、転移された後は、ダーウィン進化によって幼生の細かい形態等が変化して多様化に至ったと、博士は推理している。

<最初の後生動物>
多細胞動物の大元を考えると、これも雑種形成の様式が重視されるべきと思われる。群生の原生動物の融合が繰り返し行われ、初期の二肺性の動物門が出来上がったと博士は考えている。それには、ボルボックスのような群生の原生動物のみならず、繊毛を持たない放散虫も一役買っていたと思われる。形態自体の遺伝を考えると、放散虫のそれはアイディアに満ち溢れており、証拠はなくとも引き合いに出すのは自然である。

<胞胚とボルボックス(展示No.26)>
胞胚とは、多細胞動物の初期発生において、卵割期に続いて原腸形成が開始されるまでの胚である。博士は、胞胚について、原生動物のボルボックス目から受け渡されて獲得した形ではないか、と推理している。どちらも球形で、内部に中空が存在する点で、非常によく似ている。実際、有櫛動物(クシクラゲ)、扁形動物多岐腸類(ウズムシ)、袋形動物(ワムシ)は胞胚の時期がなく、続く発生過程と比較しても必須とは思われないので、胞胚という初期発生の一過程も、一種の“幼生”と考えると、次に続く原腸胚は、嚢胚期に至るまでの“変態”時期とも見て取れる。

<ヒドロ虫とヒドロクラゲ(展示No.27)>
ヒドロクラゲは、刺胞動物ヒドロ虫綱のクラゲ型である。受精卵が発生してプラヌラ幼生を経た後に固着性のポリプになるが、これが群体を作って成長すると、生殖の役割を担うポリプからポリプ花が出芽する。これが遊離して、ヒドロクラゲが生まれる。ヒドロクラゲには性があり、有性生殖によって子孫を残す。
博士は、このヒドロクラゲが、ポリプ形で一生を過ごすヒドロ虫とクラゲ形で一生を過ごすヒドロ虫との交配によって生まれた雑種で、クラゲ形で一生を過ごすヒドロ虫がポリプを作る遺伝子が獲得されたのでは、と推理している。どちらとも、現存するヒドロ虫に見られる生活史である。また、同じヒドロクラゲでも、形の著しく異なるポリプの時期を過ごすものが知られていることから、ヒドロクラゲのポリプの獲得はあり得ると思われる。

<鉢虫および有櫛動物>
鉢虫はスキフィストマ幼生を同じ動物門の他種との雑種交配で、成体の形態を幼生として手に入れ、これが他種のクラゲにも伝搬されたと考えられている。しかし、Pelagiaというベルの形状をした種には伝わらなかったと考えられている。
一方、有櫛動物では、フウセンクラゲ幼生が広まった。複数のパイプをゼラチンに刺したようなTjalfiellaという種(幼生世代を持たず、体内で子供が育つ)が雑種交配でフウセンクラゲを獲得したと考えられている。

<芋虫型幼虫とカギムシ(展示No.28)>
芋虫型幼虫は、ぶよぶよして細長いイモムシの形をした幼虫である。はっきりとした体節を有し、腹脚を持つ。活動は不活発で、食物の近くで生活する。チョウ目、シリアゲムシ目、ハチ目ハバチ亜目を始め、細長い円筒形の胴体に、数多くの発達した腹脚の付いた昆虫類で見られる。この幼虫は、蛹の時期を経て、翅を胸部より生やし、全身がクチクラの殻で覆われた成体になる(このような変態の仕方を完全変態という)。
 このイモムシとよく似た形をしているのが有爪動物カギムシ綱である。昆虫のように明瞭な体節はないが、一対の触角、一対の大顎、脱皮での成長といった節足動物の特徴と、排泄器官として腎管を持つといったミミズ等の環形動物に見られる特徴を持ち合わせている。博士は、このどちらの動物門にも属さない不安定な地位にある有爪動物に、芋虫型幼虫の源を求めた。博士は、現在イモムシとして幼生の時期を過ごす昆虫は,カギムシ(Peripatus)の現存しない種から,幼生転移によって芋虫型幼虫を獲得したのでは、と推理している。

<シミ形幼虫とコムシ(展示No.29)>
シミ形幼虫は、3対の胸脚と尾毛を持つ、シミに似た細い体型の幼虫である。芋虫型幼虫とは異なり、活発に活動する。コウチュウ目、ネジレバエ目、アミメカゲロウ目等数多くの昆虫に見られる。成体のミニチュアではないが、脱皮を繰り返して成体になっていく変態の様式をとる(このような変態の仕方を不完全変態という)。
 博士は、このシミ形幼生の源を、コムシ目に見出した。コムシは、起こした石の下に見られる、単眼も複眼もない白い体色の昆虫である。シミ形幼虫を持つ昆虫は、幼生転移によって、このコムシからシミ形幼虫を獲得したものと思われる。それぞれの昆虫で幼虫の形が異なるのは、環境に適応する必要に迫られて遺伝子の変異が蓄積され、その結果形が変化したためと思われる。

<ホヤのオタマジャクシ幼生とオタマボヤ(展示No.30)>
ホヤを始めとする尾索動物は、ホヤのようにごつごつとした体形をして一ヶ所に固着して生活するものや、ウミタルやサルパのように遊泳して生活するものがいるが、その幼生は、一般的にはカエルのオタマジャクシのような形をして、遊泳生活を営む。
ホヤ綱では全般的にオタマジャクシ幼生が見られ、タリア綱ではウミタル目ではオタマジャクシ幼生は見られるが、サルパ目とヒカリボヤ亜綱では見られない。また、一生をオタマジャクシ型のままで過ごすオタマボヤ綱というのがある。
 博士は、オタマジャクシ幼生の源を、このオタマボヤに求めた。オタマジャクシ幼生を作る遺伝子が、オタマボヤよりウミタル・ホヤに受け渡され、遊泳する幼生の時期を過ごすようになったのでは、と推理している。ホヤでは、岩石などに付着突起で着き、尾と尾索が体縮して体が90度回転する変態過程をとるが、この時期に幼生の神経と稚体の神経がお互いにオーバーラップして共存している。これは、幼生と稚体では神経系が独立して作られていることを示唆し、幼生転移の証拠になっていると思われる。

<ウミタルで見つかった幼生転移の証拠(展示No.31)>
また、博士が2001年に発表した論文では、ウミタルの一種Doliolum mulleri では、オタマジャクシ幼生の体内で二次幼生や成体が作られていることを示すスケッチが掲載されている。幼生転移の可能性を示唆する証拠といえよう。また、ウミタルには尾索類の18srRNAが含まれており、オタマジャクシ幼生の転移を示す有効な証拠となっている。つまり、ウミタルは幼生獲得後、これを抑制する生理的機構を経験していると思われる。
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